ジュエリーとハンドメイドnote

[ハンドメイド]廃材のナットから指輪を作ってみた

今回はcreemaで募集されていた、クリエイターが挑む、本気の「自由研究」にチャレンジということで、真鍮のナットからリングを作成してみました。

ナットから指輪を制作している方は、動画サイトなどでもちらほら見かけていたので、

「自分でもやってみたいな~」と前から思っていたんですよね。

では早速今回の指輪の作り方を紹介していきます。

ナットからリングを作る際のテーマ

ナットから指輪を作る前に、いくつか自分の中でルールを決めました。

というのも、既に誰かが制作しているようなデザインだと面白くないので、どうせなら違いを出したいなと。

そこで、考えたテーマが↓

point
・ストレートの指輪を制作している方が多いので、S字ラインの様な流れのあるデザインにする。

・元がナットだと分からないような形状。

・出来るだけ材料を無駄にしないように、一つのナットから作れるだけ指輪を作る

この三つをテーマにして制作しました。

材料は廃材のナット

SDGsを意識して、材料は購入するのではなく、

「捨てられてしまうものに手を加え、新しい価値を生み出す。」

これも今回のテーマでした。

そんな意識で毎日「何かないかな~」と探していた時に出会ったのが↓の画像。

取引先の企業で設備のメンテナンスの際に不要になったという使用済みの真鍮製のナット。

グリスと泥にまみれて転がっていたのを頂いてきました。

泥のついたナット

なかなかの見た目です・・。

でも、このナットを見た時に「これを使って指輪が作れる」と思ったわけです。

とりあえずグリスと泥を落とし、洗浄機でしっかりと洗った状態が↓です。

ナット1個と袋ナット1個。

洗浄後のナット

深い傷が沢山入っていますが、金属の状態としては全然問題ないです。

どうせ削ってしまうので、表面の傷はあっても無くても変わりません。

ナットをスライスしていく

ここからは制作手順の紹介になります。

早速ですが、テーマの一つにある「できるだけ材料を無駄にしない」

これを実行するために、一つのナットから3本の指輪を制作することにしました。

(そこまでやっている人はまだ見たことがないので。笑)

というわけでナットを3本にスライスする必要があります。

・・と言っても金属なので、キュウリのようにスパスパ切れるわけではないです。

まずはナットの幅から3本分の材料が取れるように、ケガキで印をつけてます。

(画像では見やすいように黒マジックの上からケガキで線を引いています)

ケガキとナット

これを曲がらないように慎重に糸ノコで切断。

ナットと糸ノコ

↑は一本切り終えて、二本目と三本目をカットしているところ。

糸ノコの状態や力加減によっては切り口が斜めになることもあります。

そうなると3本分の材料取りの予定が狂うので慎重にカットしていきます。

三つに切断したナット

なんとか無事に3本分のカットが終わったところです。

今思えばここが最大の山場だったかもしれません・・大変でした・・。

ナットの切断面を整える

万力に固定したナット

次は、カットした材料の切断面を削る作業。

万力に固定して荒いヤスリで削りながら、面を綺麗にしつつ必要な厚みに近づけていきます。

側面を削ったナット

3本の面が粗削りできたところ。

2本は厚みを揃えて、一本は0.2mm程度厚めにしてあります。

少し厚くした理由は後程。

内側を削ってサイズを調整する

元がナットなので内側にはネジ山が付いています。

このままだと指輪になりませんし、サイズが小さいのでナットの内面を削っていきます。

狙ったサイズを超えないように慎重に削ります。

ナットの内面を削っているところ

今回はリングサイズで、

・11号2本

・17号1本

上記のように調整しました。

先ほどの工程で、1本だけ0.2mm厚くした理由ですが、メンズ用という構想だった為です。

そして次の工程ですが、内面の真円とサイズの調整をした後で、まだ粗いままの側面を綺麗にしていきます。

平らな定盤(じょうばん)という台の上に紙ヤスリを置き、その上でこすって綺麗にすればいいので簡単。

ちなみに定盤はケガいたり(けがくとは、目印となる線を引いたりすること)測定の際に、平面の基準となる水平な台のこと。

※1台しかない場合には、平面の基準が狂わないようにする為に定盤の上で叩いたり削ったりはしない方が良いです。

紙ヤスリとナット

ここまで綺麗にできたらとりあえずOK。

余計な部分を切断する

今の状態のまま仕上げても格好良さそうですが、元がナットだと分からないようにするのも今回のテーマなので、

まずは内面の円を基準に必要なリングの厚みをケガきます。

側面に線を引いたナット

その後はケガいたラインに沿って大まかに糸ノコでカットしていきます。

↓が切り回した後の画像。

出来るだけケガいたラインのぎりぎりを切り回せると、その後のヤスリがけが楽になります。

削る量も最小限で済みますし、余計な粉も出ません。

ただ、攻めすぎて切り過ぎるとそこで終了なので、やり過ぎない程度にです。

丸くカットしたナット

うっすらラインが残っている程度にカットできたので、まあいい感じだと思います。

次は、このラインを目安にしながら表面をヤスリで削り、全周の厚みを均一にします。

表面をヤスリ掛けしたナット

ほぼ均一の厚みに出来たので、ここからもう一度ケガきます。

先ほどは一周同じ幅の円でケガいて切り回しましたが、

今度は厚みを変えてケガキ、それを目安に削り込んでいきます。

画像では分かりにくいかもしれませんが、

・指輪を身につけた時に手のひら側に来る部分を薄く

・上に行くにしたがって徐々に厚くなるように

↓のようにケガきました。

天地左右がずれない様に普段はケガいておくのですが、画像で分かり易い様にする為に今回だけマジックで印をつけてあります。

マジックで印をつけたナット

下は1本削ったところの画像ですが、下から上にかけて徐々に厚みが変わっているのが分かると思います。

厚みを調整したナット

そして当然これも3本やります・・・。

ベースのリングが出来たら形を作っていく

今まではベースとなるリングを作る工程でしたが、ここからはデザインを施していきます。

最初に、ストレートのリングをS字ラインになるように曲げていきます。

カーブを付けた指輪のベース

画像のようにカーブが揃うように、少しづつ曲げながら3本を調整。

これが終わったら次は左右からトップにかけて一部分をえぐります↓。

中心線をケガいて、それを目安にしてS字ラインとリンクするように削り込み。

もちろん左右対称を意識しています。

表面をえぐったナット

削り込んだ途中では、中央部分がひし形というか、ラインに対して不自然な角が残っています。

柔らかいデザインの一部分が尖っていたら統一感が無いですが、

これは、この後の工程で自然な流れに整えていくので今はこのままでOK。

下はえぐった面の粗い肌を綺麗に整えた画像。

トップから下に向かって半分の位置まで入れましたが、徐々に消えていく感じです。

えぐった部分を綺麗にした指輪

もちろんこれも、2本3本と表情が変わらないように同じように加工します。

金床の上の真鍮の指輪
カーブしている2本の指輪

えぐりが終わったら、それ以外の表面に綺麗に丸みをつけていきます。

今回は後のことを考えて弱めの甲丸にしました。

表面が綺麗になった指輪

やっぱりこれも3本やります・・・。

表面が綺麗になった3本の指輪

ここまで進むともう元がナットだとは分からないですよね?

腕の制作が終わったら石座の制作

腕の制作は一旦ストップして、次は石座を制作していきます。

小さい袋ナットを加工しますが、不要な六角になっている部分を削ってしまいます。

袋ナットを削っているところ

その後は、すり鉢状の穴が沢山開いている「石枠成形台」という道具を使い、その穴にコンコンと金鎚でナットを打ち込んで成形します。

これは叩くだけで円錐状に成形できるので本当に便利。

そうすると↓の画像のように円錐状に成型できます。

円錐状の真鍮パーツ

↓はそれをベースにして、4本爪になる部分以外を削ったところ。

加工中の真鍮パーツ

この後は爪と爪の間をえぐり、照り返しをつけてから石枠に丸みを持たせれば終わりです。

ジルコニアと石座

腕を加工して石座のロー付け

せっかく作ったリングですが、石座を付けるためにトップで切断して石枠が収まるようにすり合わせます。

リングを切断せずにそのまま石枠を乗せる方が簡単ですが、

取ってつけたような感じが出てしまうので今回はこの方法にしました。

ただ、この方法だとすり合わせが上手くいかないとロー付けが汚くなりますし、石座がずれてついてしまったりするので難易度は上がってしまいます・・。

ロー付け後に爪の天地左右がずれていると最悪なので、本当に気を使う工程。

何年やってもすり合わせは難しい工程だと感じます。

穴の開いた指輪

腕の接合部を石座の丸味に合わせて削り、セットしてまた削るの繰り返し。

いい感じで腕とパーツの接合部をすり合わせたらロー付けです。

そしてロー付け後はこんな感じ↓

エンゲージなどはもう少し高めにセッティングしますが、今回はエンゲージではないですし石も小さめなのであえて高さは押さえました。

石座を付けた指輪

はみ出た部分は裏から削れば無くなるので問題ないです。

そして、すり合わせもいい感じだったので、

ロー材も少なくロー付け部分も分からないようになっています↓。

指輪の内面

このリングはとりあえずここで終了。

次は、せっかく作ったもう一本にも穴を開けてしまいます。

今度はすり合わせではなく、石を留める為の穴あけ。

トップから下にかけて徐々に石が小さくなるようにします。

(甲丸を弱めにしておいたのは、石留をしようと思っていたからです。)

メレ用の下穴が開いた指輪

これでようやく石留と仕上げ前の下準備が出来ました。

一粒石のリングと、メレを埋め込むタイプのリング。

そして1本は同じデザインのメンズ用です。

3本の真鍮の指輪

石留と仕上げをしたら完成

この後は石を留めて仕上げるだけで完成です。

結果的に真鍮の一つのナットから、リングを3本作ることが出来ました。

(石座用に小さい袋ナットも使いましたが・・)

綺麗になった3本の真鍮リング
側面から見た真鍮の指輪

一応ですが最初に決めたテーマ、

・ストレートではなく流れのあるデザイン

・ナットの面影は残さない

・材料の無駄を省き、沢山作る

これはまあ達成できたのではないかなと。

一つのナットからここまで作るのは、我ながら変態だと思います・・・いい意味で。

そして、面白そうだなと参加したcreemaの企画でしたが、↓の様な嬉しい結果もついてきました。

受賞した真鍮のリング

驚きのアップサイクルで賞を頂きました~。

今回の自由研究でcreemaから提示されたのは下の三つの課題。

①SDGs課題

②防災課題

③自由課題

この中のSDGs課題にエントリーして、取り組むだけでも新しい発見があったのですが、受賞までできて素直に嬉しかったです。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は廃材のナットから指輪を制作しましたが、改めてものづくりについて色々と考える良い機会になりました。

何気なく捨てられてしまうもので、その価値を見過ごされているものがまだまだ身近にあるのではと気づかされましたし、なにより学生時代以来の「自由研究」としてものづくりを楽しめました。

どのようなジャンルでもアイディア次第で可能性は広がりそうですし、

ものづくりが好きな方は是非「大人の自由研究」にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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