ハンドメイド作品を販売する時に、初心者さんが悩んでしまうことの一つが価格設定ではないでしょうか?
なんとなく決めてしまうと、後々困ってしまうこともあるので最初にしっかり考えておくことをおススメします。
とはいえ最初は分からない事も多いと思いますので、重要なポイントを紹介していきます。
ハンドメイド販売初心者さんの為に、財務会計みたいな難しい言葉はなるべく使わずに説明していきますね。
目次
販売サイトの出品価格を決めるにはまず原価計算から
原価とは売上の元になった費用
原価とは、単純に「売上の元になった費用」です。
そして、勘違いしやすいですが、原価は材料費だけではありません。
原価を正しく計算できていないと、何となくで販売価格を決定してしまい、販売するほど損失が出てしまうということにもなりかねません。
原価計算の大切さを理解してもらうために、間違った原価計算をしてしまった場合を先に説明します。
間違った原価計算をした場合
早速例を挙げて説明していきます。
以下のイヤリングを制作した場合。
イヤリング金具 | パール | 接着剤 | 合計 |
---|---|---|---|
¥500 | ¥300 | ¥200 | ¥1000 |
材料費は1000円
ライバルは2000円で同じような作品を販売。
初心者だし最初は1500円くらいかな~と適当に決めて販売。
+500円ならまあまあでしょ・・・そう思ったら大間違いです。
原価計算は材料費の1000円だけでは足りません。
・箱やプチプチやリボンなどの梱包資材 1個分 100円
・人件費(自分の作業の対価)今回は時給換算で1000円
細かく挙げればまだまだありますが、ざっと計算しただけでも上記の費用が足りていません。
そうなると、作品価格1500円-原価2600円=-1100円
・・作れば作るほど赤字を垂れ流してしまいます・・・。
そして、こうした間違った価格設定で、作家同士が足を引っ張りあっている状況も実際にあります。
価格破壊
少し前に話題になりましたが、作品が売れてほしいという理由から、利益の出ないような低価格の作品が多くなってしまった状況の事です。
ライバルより販売する為に価格を下げる
↓
作品は売れるが利益が上がらない、もしくは赤字
↓
苦しくなり価格を見直し値上げする
↓
今度はライバルの方が安いので、自分の作品が売れなくなる
↓
代わりに売れているライバルも利益が上がらないので疲弊していく
↓
ハンドメイドサイト自体が厳しくなる。
・・こんな感じで結果的に誰も得しない状況の事です。
そして、この負のスパイラルに陥っている人が本当に多いと思います。
余計なお世話ですが、そんなに安くて大丈夫なの?と、心配したくなる人もいます。
ただ、中には特別なコネクションがあって激安で仕入れができる人や、家業の設備などを使えるからというのが理由の人もいます。
そのような特別な理由がない限り真似できない方法ですので、価格だけではなく作品のオリジナリティーで勝負するのが賢明です。
金銭的にも精神的にも疲弊するようなものづくりは、楽しくないですし続かないはずですから。
売れるのが快感で、ボランティアでも構わないという人は別に構わないですが・・。
正しい原価計算のメリット
1.適正価格が合理的に判断できる。
当たり前ですが、原価よりも高い価格で売らなければ利益が出ません。
正しい原価計算ができていれば、適正な価格はもちろん、ライバルの価格と比較してどこまで値下げができるのかなども合理的に判断できるようになります。
2.無駄を減らせる・無駄が分かりやすい
好調に売れている作品の利幅を増やすために、価格は据え置きで原価から何が削れるのか計算しやすい。
・同じパーツでも安いところを探す
・仕入れ時の送料を無料のところに変える
正しい原価を把握していれば、削れる無駄な部分が分かりやすくなります。
3.疲弊するような間違った価格設定を防げる
これは上でも説明しましたが、たとえ趣味でも赤字になりたくないなら原価計算~適正価格の設定が出来なくてはいけません。
楽しんで続けられて、このくらいの対価は欲しいという計算は最初にしておきましょう。
一般的に言われているのは、原価の3~4倍が上代(販売価格)
これはハンドメイド作品に限ったことではなく、身の回りの製品や企業でも当てはまることです。
最初のうちはこれを参考にすると良いと思います。
最初の例だと原価¥2600×3=¥7800
これがだいたいの販売価格になります。
その場合には、自分の時間当たりの労力の¥1000を確保しつつ¥5200が残ります。
企業の場合にはここから、設備投資や地代家賃、水道光熱費などを支払う計算です。
ただ、趣味でも本業でもハンドメイドの販売では、地代家賃などが必要ない人や自分以外の従業員にお給料を払わなくてもいい方もいると思います。
ということは、どんな人でも原価の3~4倍が適正価格だと一概には言えないので、参考程度にしてください。
最初は自分の作品のクオリティーや熟練度なども考慮して、2.5~4倍の範囲でライバルの作品を参考に調整しましょう。
↑の原価2600円のものを2倍で販売すると5200円。
原価を引くと2600円残るので、新しい道具や書籍などはそこから購入。
このように自分の納得できる対価(今回は1000円)は確保して、それ以外の利益の部分から必要なものを購入する。
ここまで考えて価格を付けるのが、疲弊せずに長く続けるポイント。
原価計算の時に抑えておきたい費用
水道光熱費や電話などの通信費・プリンターの用紙などなど、挙げればきりがないので、ハンドメイドを楽しみたい初心者のうちに把握しておくとよいものを↓に書いておきますね。
・材料費
・仕入れ時の交通費、通販なら送料など(10個分仕入れたなら10で割る)
・商品発送時の梱包資材費用(資材を仕入れて何個包装できるのかで割る)
・人件費(自分の労力の対価・時給換算など)
複数個同時に制作すれば作業効率が上がる場合も
・委託販売は手数料が必要(商品代金の40~50%)
・ネット販売の場合でも手数料は必要(10~20%)
まとめ
いかがだったでしょうか。
あまり難しくならないように、ハンドメイド初心者さんへの基本的な原価計算の説明でした。
意外と忘れがちな基本の部分が、自分自身の人件費です。
最初のうちは時給換算で安くても構わないと思いますが、ある程度レベルが上がり良いものが作れると自信がついてきた時は、自分の対価を見直してみてください。
効率よく機械などで量産できる商品なら安価で販売できますし、購入する方も助かります。
ですが、そうではないハンドメイドの商品は、どのようなものでもそれなりの価格ですよね。
ハンドメイドでとても良い作品なら、それなりの価格設定が当然ですから自信をもって値付けしてください。
それがハンドメイド市場も盛り上がり、自分も楽しんで長く続けられるコツです。