国内外の沢山のジュエリーに触れてきたから分かる、後悔しないマリッジリングの選び方をプロがコッソリ教えます。
そして今回は、なるべく安く買いたいという方に向けて、後悔しない結婚指輪の選び方を紹介します。
私もそうですが、なるべくなら費用を抑えたいという気持ちは、多くの人が持っていますからね。
ですが、価格だけで判断して品質を無視してしまうと、すぐに壊れてしまう場合も。
そうなると結果的に「安物買いの銭失い」になってしまいますから。
そこで、安くても品質の高いものを選ぶための、
結婚指輪に共通する確認するべき2つのポイントに絞って説明していきます。
これから結婚指輪を購入するという方は、是非最後まで読んで参考にしてください。
目次
安いだけではだめ。良い結婚指輪の要素とは
ブランドなどに左右されない、すべての指輪に共通する要素。
それは構造の部分です。
最初は指輪の厚みや幅がなぜ重要なのかについて解説していきます。
リングの幅や厚みが重要な理由
ここで説明する幅や厚みというのは、デザインに対しての事ではないです。
あくまでも、結婚指輪としての強度を保つ為に必要な幅や厚みという事です。
せっかく購入した結婚指輪ですから長く愛用したいですが、モノによっては結構簡単に変形します・・。
日常生活で、ちょっと重いものを持ち上げただけでリングが歪んでしまったり、人によっては買い物袋を持っていたら変形してしまったという場合も。
その他には、床に落としただけで結構変形してしまったという方もいらっしゃいましたし、楕円になったリングは数え切れないほど見ました・・。
一例ですが、下の画像は普段使いで徐々に変形してしまったリングと、修整後のリングです。
右側は変形を修正したところですが、修理はこれだけで終わりません。
ジュエリーに使用される金属は、力が加わると延びる展延性という性質を持っているので、変形時とその修正時に加わる力によって金属が若干ですが延びます。
その為、ゆがみを修正した後はサイズが大きくなってしまう場合が多く、必要に応じてサイズ直しも必要です。
上のリングは変形部分にヒビが入っていたので、この後に補強の意味も兼ねてサイズ直しをしなければいけません。
これはその時の状況や力加減にもよるのですが、そのリングが耐えられる強度の限界を超えてしまった事が原因です。
もちろん金槌等で叩けば簡単に変形しますが、日常生活に耐えられないようだと強度不足の可能性も考えられます。
理由の一つは地金価格の高騰。
2019年現在のプラチナ1gあたりの価格は、2000年の時に比べほぼ倍です。そして約20年の間に2倍以上に高騰した年もあるくらいです。
そうなると、今まで通りの構造だと単純に材料費が2倍になるので、当然ですが製品価格にも影響してきます。
価格が上がると購入する方としては敬遠しますし、なかなか売れなくなります。
じゃあどうするかというと簡単です、細く薄くして軽く作るんです。
少しの材料で済めばコストを下げられますので、お客さんの為にもなります。
もちろん強度やデザインに悪影響が無いか考慮し、問題の無い部分を薄く細くし最終的には強度の検査をする製品もあります。
その他には、配合を工夫してプラチナ自体の強度を上げた、従来よりも変形しにくいハードプラチナといった材料も存在しますし、業界の色々な努力が今の製品には詰まっています。
ただ、細く薄く作ったリングはどうしても変形しやすいというのが事実です。
もうこれは物理的な問題なので仕方ないのですが、あるポイントを意識する事で変形する可能性の低いリングを選ぶ事は出来ます。
確認するべきポイントは手の平側になる部分の厚み
沢山のリングを修理した経験からですが、
一番多いのが手の平側になる一番薄い部分の変形。
先程紹介した画像の様な変形の仕方です。
リングの種類を大きく分けると、全体が均一の厚みの物とそうでない物に分かれます。
均一な厚みのリング以外は、上から下にかけて少しずつ薄くなっていくのが一般的なので、一番薄い手の平側になる辺りが歪みやすいです。
しかも何かを持った時には、大体その薄い部分に力がかかるので、これが原因の大半ですね。
そんな変形の可能性を低くする為には、
一番薄い部分でも厚みが1.2mm以上
これは気にした方が良いと思います。しかも、最低でも1.2mm以上です。
これは作り手によって感じ方の誤差はあると思いますし、使う人によって負荷のかかり具合も違うので絶対大丈夫という答えはありません。
ただ、変形しているリングに共通しているのは、ぱっと見で薄いな~と感じますし、1mm程度の物が多いです。
画像で比べると分かりやすいと思いますが、大体のリングは上から下にかけて薄くなっています。
右のリングは矢印部分が1mmしかありませんので、上にかけて厚みが増しても全体的に華奢な感じを受けると思います。
左のリングの方が、長年使用出来そうな安心感があると思いませんか?
自分用だとしたら一番薄い部分でも1.3mm以上は欲しいですし、実際に私が使用しているのは1.5mm(一周同じ厚みのタイプ)ありますが、長い間変形など無く使用しています。
デザインによっては、1mmを下回ると痛く感じる事もある。
これは「指なじみ」という、着け心地に影響する内面の角を落として丸くする事を意味しますが、厚みに余裕がないとこの細工が出来ないんです。
また、万が一サイズが合わなくなりサイズ直しを依頼する場合にも影響があります。
修理を断られる場合も
サイズを直す場合には、リングの手の平にくる部分を切断し、サイズを調整した後に再び接合します。
その際に接合面が分からないように綺麗に処理しますが、削りと磨きを施すので必然的に修理前よりも薄くなります。
修理前の厚みが1mmの場合には修理後に1mmを下回ってしまい、着け心地に影響が出る可能性がありますし、修理自体を断られることもあります。
もちろん修理前よりもそこが変形しやすいという強度の不安も高くなります。
ここまでを理解して頂ければ、最初の段階である程度厚みのあったリングを選んでおいた方が安心だと思いませんか?
結婚指輪を選ぶ際に、これも考慮できれば◎
せっかくなので、結婚指輪を選ぶ際のポイントをもう一つ紹介します。
まず、気に入ったデザインのリングを選びたいというのは当たり前ですし大前提です。
有機的なラインが特徴のデザインだったり、幾何学模様を基にしたデザインだったり。
シンプルなのかデコラティブなのか、細いのか太いのか、シンメトリーなのかアシメなのか等々・・。
特徴を挙げればきりが無いですが、この考え方にプラスした方が良い要素があります。
デザインにプラスアルファで重要なのは年齢
仮にですが、今マリッジリングの購入を考えているお二人が共に二十代だとします。
どうせ購入するなら、ある程度はこだわりを持って選びますよね?
男性の中には、「どれでもいいよ~」って方もいると思いますが、女性ならそうではない方が多いのではないでしょうか。
あまり頻繁にある事ではない非日常的な出来事。
そんな、気分が盛り上がっている時にやりがちなマリッジリングの選び方が
今の自分に似合うマリッジを選んでしまう。
何が悪いの?と、思った方は少し考えてみてください。
全然問題は無いのですが、ここにある要素もプラスして選ぶと、なお良いですよという話。
マリッジリングは基本的に、長い間身に着ける可能性があるリング
20代で購入して、30代、40代、50代と身に着けるあなたは年を重ねていくわけです。
そうすると、とても個性的な今の年齢だけに似合うリングを購入した場合に、
20代の二人にお似合いでも、40代50代の二人にはちょっと厳しい・・
そうなる可能性もあります。
はりきってオーダーメイドしたのはいいけど、年齢を重ねるとこのデザインは厳しいな・・
そう感じた方が引き出しの奥に眠らせたままというのも本当に多いです。
もったいないからと割り切って「リメイクする!」と決断出来る人はいいですが、
使えないけど思い出の品だから溶かすのはちょっと・・と、そうなってしまってはもったいないと思いませんか?
決して安い買い物ではないので、マリッジリングを選ぶ時は、
年齢を選ばないデザインだと、長く身に着けられる可能性が高い。
これを意識するのがお勧めです。
もう一度書きますが、大前提として購入する時に気入ったデザインという事はもちろん大切です。
ですが、そこにプラスして「何年経っても身につけられそうか」、このポイントも意識できると高い買い物だったなと後悔する可能性は減らせると思います。
まとめ
・マリッジリングを選ぶ時は、年を重ねても違和感無く身に着けられそうかも考慮するのがお勧め。
・変形しにくいリングを選ぶことで長く使用できるので、デザインと価格だけではなく、厚みも確認した方が良い。個人的なお勧めは手の平側の一番薄い部分でも1.2mm以上、1.3mm以上だとなお変形の確率は下がる。
百貨店などで販売されている様な、標準的なデザインの場合には役立つと思います。
決して壊れないという物は無いので、いくら厚みがあっても強い力がかかれば変形はします。
ただ、似たようなデザインで価格に差があり悩んだ場合には、材料を必要以上にケチらないで仕上げてあるリングの方が、長い目で見ると安心です。
オーダーメイドの一点物のような特殊なデザインだと、この限りではないですし厚みも指定できますが、どちらの場合でも強度に問題は無いかというポイントを店員さんに確認する事をおススメします。
購入方法で迷っている方は、↓の記事も参考にしてみてください。