本サイトの記事ではアフィリエイト広告を利用しています

自宅で出来る指輪の作り方をプロが解説[ハンドメイド]

真鍮の指輪

「ハンドメイドの指輪って、作ってみたいけど難しそうだな~。」

もしそう思っているなら、是時この記事を参考にしてみてください。

正しい手順で作業すれば、初心者さんでも上の画像のようなリングは制作できます。

ここでは、宝飾業界でお仕事をさせて頂いている現役のジュエリー製作者が、

初心者さんでもチャレンジできる、彫金の基礎が詰まったシンプルな指輪の制作方法をご紹介しています。

興味がある方は、あまり難しく考えずに是非チャレンジしてみてくださいね。

まずは指輪作りに必要な道具から解説

指輪を作るにあたって道具の準備が必要ですが、揃える道具や手順などがプロと完全に同じ方法だと当然難易度が高くなってしまいます。

そこで、なるべく最低限の道具で初心者の方でも始めやすいような内容にしてあります

ただ、そうは言っても指輪を作るとなるとどうしても必要になる道具がありますので、

「ちょっと本格的なリングを作ってみたいんだけど、何が必要?」と、身近な人に聞かれた時に教えているものを紹介します。

最近では彫金工具の専門店が通販を行っていますので、必要な道具はそのようなお店で揃えるといいです。

そして、特に重要な道具は彫金学校の学生~プロまで使っているしっかりしたものがおすすめ。

①シルバーロー付けお買い得セット

バーナーやボンベ、セラミック台や銀ロー、ピンセットにロー切り用はさみ等々

(細かい道具はこのセットの中にほぼ入っているので超おすすめです。)

②プラスチックハンマー(頭サイズ31ミリ 品番だと#1 )

③木槌  プラスチックか木槌のどちら1本でもOK

④芯金(しんがね)指輪を入れて叩く棒の事 

色々な種類がありますが、どうせ揃えるなら焼き入りのサイズ入りをおすすめします。後からこれにしておけば良かった~となるともったいないですし、一生使えますので。

⑤リングゲージ  (使用しているうちにすり減るのでプラスチックの物はあまりお勧めしません)

上記の内容で揃えれば大丈夫です。

彫金工具一式

紹介したロー付けセットと、②~⑤をリスト通りに揃えるとこの様な感じです。(画像は雰囲気です。)

先に紹介したリスト通りに揃えれば、はさみやディクセルなどもあると思うので、画像よりもっと品数が多く揃っているはずです)

道具を用意するのに最初だけ少しお金がかかりますが、これはどのような趣味も同じだと思います。

チャレンジしてみたいと思っている方は、↓のポイントを理解すれば納得できるはず。

point
・ガスボンベは消耗品ですが、なかなか減らない。

・他の工具は一度揃えてしまえば頻繁に購入するようなものではない。

・次に指輪を作る時には材料代だけで済む

特に芯金なんて一生使えますし、万が一の時は護身用にも使えます(笑)。

そして、一度道具を揃えてしまえば次回から指輪を作る時には材料代だけと解説しましたので、今回の材料代も解説しておきます。

今回使用する真鍮の棒は、ホームセンターで数百円で購入してきました。

しかも、この材料は長いので15本程度は指輪が作れます。

ということは、今回の真鍮リングを制作するのにかかる材料代は1本あたり数十円。

そう考えると凄いですよね?(笑)

また、ハンクラサイトでは今回制作するようなシンプルな真鍮のリングが、1000円位~販売されているのを見かけます。

最初は趣味として楽しんでみて、上手に作れるようになったら販売することももちろん可能です。

製作前の注意点

念の為ですが注意点もあります。大切な事なので先に書いておきますね。

※製作する際には、専用の液やバーナーなどを使用したり粉が飛ぶなどします。使用する工具や製品の注意書きをよく読んで必要に応じて保護眼鏡や保護マスク、保護手袋を着用してください。

※ハンマーなどで指輪を叩く際には、間違って指を叩くなどして怪我などしない様に注意してください。

※また、ハンドバーナーやガスボンベの取り扱いについても、火災の原因や火傷の恐れもありますので、製品の注意書きをよく読んで、取り扱いには充分に注意してください。万が一何かありましても責任は負いかねますので、製作する際には全てご自身の責任でお願い致します。

製作開始

ではここから画像付きで実践していきます。

まずは真鍮の棒を必要な長さにカットするので、分かり易く印を付けましょう。

切断前の真鍮の棒

11号で作るので、57.5mmにマジックで印を付けました。この時にカットする長さで完成品のサイズが決まります。

今回は直径が2mmの棒を使用しますので、サイズごとに必要な長さは下の様になります。

※材料の直径によって必要な長さが変わるので注意です。

#7 53.4mm

#8 54.3mm

#9 55.6mm

#10 56.5mm

#11 57.5mm

#12 58.7mm

#13 59.6mm

#14 60.6mm

#15 61.8mm

これが直径2mmの場合の目安ですが、最初はそこまで慎重にならなくても良いです。

切断後の真鍮の棒

最初は焼き鈍し(やきなまし)を行う

ニッパーなどで切断してその後に丸めていくのですが、このままでは硬いので一度バーナーであぶって水につけます。

これは焼きなましという工程で、金属を一度柔らかくするものです。

強すぎる火で溶かしてしまわないように気を付けながら、全体がほんのり赤くなるまで熱してください。

ほんのり全体が赤くなったら、奥にあるような水を張ったボウルなどにピンセットでドボンと入れます。

火で炙っている真鍮の棒

上手く焼き鈍しが出来ていれば材料が柔らかくなり、この後の工程が非常にやり易くなります。

何度か経験していくと、「あ、そういうことね。」と、材料の柔らかさで判断できるようになります。

リング状に成型していく

しっかりと水分を拭き取ったら、これを芯金に巻きつける様に丸めていきます。

柔らかくなっていればある程度は両端を持ってグイッと曲げられるかもしれません。

芯金と真鍮の棒
曲げた真鍮の棒

画像の芯金はサイズが入っていますが、基準がない芯金の場合もリングゲージを使いその上下などにマジックで印をつければ問題ありません。

リングゲージと芯金

ただ、叩いている時に目安になるのでサイズが入っている芯金の方が圧倒的にいいです。印が消えていつの間にか叩きすぎて大きくなっていたなんてことがないので・・。

私はもうこの無地の芯金は使用してないので、皆さんには最初からサイズ入りをおすすめします。

そして、だいたい巻きつけたらこのような感じになったと思います。

曲げ途中の真鍮の棒

この丸くない部分をプラスチックハンマーか木槌でコンコン叩いて丸めてください下さい。

隙間のある真鍮のリング

このような形まできたら、接合面がピッタリ合う様になるべく平らに調整しておきます。

最初にニッパーで切断した面などはギザギザしているので、そこを調整しておく事でこの後のロー付けで接合面が綺麗にくっつきます。ホームセンターなどにある平らなヤスリなどで構いません。

画像の上の様なヤスリなら100均にもあると思います。

2本のヤスリ

ほぼ平らに出来たら、片側ずつコンコン叩いて切れ目が合わさるようにしていきます。

隙間が縮んできた真鍮のリング
隙間が無くなった真鍮のリング

このようにだいたい合ったらオッケーです。

本来はもっと真円を保ったまま丸められると一番良いのですが、最初からそれをやろうとすると大変なので、こんなに歪んでも大丈夫だよという意味で分かり易くあえて歪んで合わせました。

いよいよロー付け(ろーづけ)という工程

最初は緊張すると思いますが慣れてしまえば大丈夫です。

耐火レンガなどの上にセラミックボードを置きます。

私のは割れてしまっていますが、セットに入っているのは一枚になっているはずです。

その上に先ほどの丸めたリングを置き、接合面に竹串や楊子などでフラックスを少しだけ塗ります。

フラックスを塗った真鍮のリング
フラックス

そこで一度バーナーで加熱します。すぐにフラックスの水分がジュワッと蒸発しますのでそこでストップです。

次に、あらかじめ小さくカット(2mm×2mm程度に小さく)しておいた、銀ローの破片をピンセットでつかみ、ほんの少しフラックスを付けます。この時は5分(ごぶ)と書いてある銀ローを使用してください。銀ローは数字が小さくなるほど溶けにくくなります。

接合面に四角い小さいものが乗っていると思いますが、それが五分ローです。その位小さくカットして使います

接合面に銀ローが乗っているリング

それを加熱して溶かし、隙間に流していきます。

要するにロー付けとは、母材(本体の事を指します)よりも融点の低い金属を接合面に溶かして流し込み接合する事です。

最初はふわっとした弱火で全体を暖めるようにして、リング全体の温度が上がってきたら火を細くし接合面に火を集中させて強い火で加熱します。

ロー材は、溶けた時に温度の高い方へ流れるので、ロー材が溶ける瞬間には指輪の中でも接合面付近が一番高温になっているようにします。

上手くいくと銀ローの破片が溶けて接合面に流れ込みます。

下の画像では切れ目に銀のスジが見えると思いますが、この様に隙間に溶けて流れ込めば成功です。

ロー付け後のリング

初心者の方にはおそらくここが一番の難所だと思います。

火の当て方が良くないと銀ローが変なところに流れてしまったり、接合したい部分ではない所でただ溶けただけみたいな事も最初はあります。

初めは誰でもそうですから、そうなってしまっても当たり前だと思ってください。大変ですが、後で削ればいいだけです。

そんな事を繰り返して最初に出来たリングは、不恰好でも思い入れのあるリングになりますから何も問題ありません。

ディクセルに浸ける

ロー付けの前に、セットに入っているディクセル(ビックリングコンパウンドと書いてあると思います)を使う分だけぬるま湯に溶かし専用の液を作っておいて下さい。

粉の量などは注意書きを参考にしてくださいね。

本来は硫酸などを薄めて使いますが、これはそれよりも安全に使用できるものです。そして、入れ物はガラス製のものにしてください。(ジャムの空き瓶など)

ロー付け後の熱くなったリングを一度水に入れて冷やします。

必ずリングを水で冷やした後に液に入れてください。

ここで一息つきましょう。

酸化膜のあるリング

上の黒く変色したリングを、5分ほど浸けると酸化膜が綺麗になります。

酸化膜を落としたリング

液から取り出したら水ですすいで、軽く重曹で擦ればこの程度までは綺麗になります。酸化膜が落ちると綺麗に溶かした銀の線が見えていますね。

その両サイドにピンク色が見えると思いますが、加熱によって銅分が表面に出てきただけなので、最後にきれいにしたら目立たなくなります。

綺麗になったら叩く!

もう終わりは近いので頑張ってくださいね。

歪んだままだと指に入らないので真円を出す工程です。

芯金と歪んだリング

この様に歪んでいるリングを芯金に入れて整形していきます。今は3号あたりで止まってしまう程度しか入りません。

最初は芯金から浮いている部分をめがけて、大体丸くなってきたら全体を満遍なく叩きましょう。

利き手と逆の人差し指と親指で、リングを下に移動させるようにしながら叩くのがコツです。

たまにリングを芯金から抜いて、逆方向からも入れて叩く等して真円を出してください。

もしプラスチックハンマーでは難しいようでしたら木鎚に変えます。ただ、木鎚は力を入れすぎるとリング表面に影響しますので程々の力加減にしてください。

注意点は指を叩かない事と目標のサイズを超えてしまわない事です。

どうしても目標のサイズにならない時

そんな時は以下の事が原因の場合が多いです。

大きくなってしまう時は、

叩き過ぎで大きくしてしまったか、材料が長かった

小さい時は

叩き方が甘いが、材料が短かった。

その可能性を疑ってみてください。

どちらも丁度良かった場合には下の画像のように、歪みがなくなり芯金にピッタリ合うような真円になると同時にサイズも合うはずです。

芯金と新円のリング

そして作りたいサイズで真円が出たらもう完成したようなものです。

最後の仕上げ

まずはヘアラインという仕上げを紹介していきます。

ヘアラインとは、

・細かい線を入れて艶消しに仕上げる方法
・ホームセンターなどで売っている紙やすりで線を入れていくだけなので簡単

好みの雰囲気に仕上げていくだけです。紙ヤスリにも種類がありますが、画像の様な色のものが良いです。(耐水ペーパー)

紙ヤスリとリング

そして、目の粗さでも仕上がりが変わってきますので好みのものを使うようにしてください。今回は#600の紙やすりを使い易い大きさに切って仕上げていきます。

ロー材が余計に流れてしまって沢山削る必要がある場合には、#320などの小さい数字の紙やすりから順番に使用するなど工夫してください。

接合面とピンクに変色した部分、それが綺麗になったら全体をヤスリの目で整えていきます。そうするとヘアラインという仕上がりになりますので、つや消しの温かみのある輝きになりますよ。

紙やすりの線が色々な方向からにならないように、一方向からヤスリの線が入るようにするのが綺麗なヘアラインにするコツです。

終わったら水洗いして、ヘアラインはこれで完成です。シンプルでなかなか良い感じですよね?

時間と共に変色して良い味が出ますよ。

完成したら身に着けてもらうと分かりますが、付け心地は抜群だと思います。

平打ちという平らな板で作るリングも考えたのですが、その場合には真鍮の板を必要な長さと幅に糸鋸で切り出して作ります。

そうすると内側に角が残るので、痛く無い様に最終的に削る必要がありますし、何より糸鋸で材料を切り出すのは初心者には結構大変です。

丸線で作るとその点は心配ないですし、材料もニッパーでパチンと切るだけなので最初に作るには丸線からがいいと思いますよ。

テクスチャーを付ける

最初の画像で紹介した表面がザラザラしたリングは、この丸線をベースにして100均の道具でテクスチャーを付けたものです。

100均の道具と聞くと、

「噓でしょ?」と思われるかもしれませんが本当です。

そして、今回の基本の丸線リングが制作できたなら、難易度はあまり変わりません。

もちろんその方法もしっかりと画像付きで解説していますので是非↓の記事から参考にしてみてください。

[ハンドメイドアクセサリー]100均の道具で指輪に素敵なテクスチャーを付ける方法

リング1本の材料代

道具代は一度揃えてしまえば毎回購入するものではないので、初期費用として別と考えます。

純粋な材料としては、近所のホームセンターで売っていた真鍮の棒です。

1m(1000mm)の棒でしたので、サイズ11号用に57.5mmを切り出しましたので、同じサイズの指輪なら17本作れる計算です。

この棒は180円程度でしたので17本作ると・・・、

指輪1本あたりの材料費は・・なんと約10.6円です!

丸線の真鍮リングならほぼ10円で作れるなんて今まで知っていましたか?

もちろん綺麗に作るには時間と手間がかかりますから10円では販売できませんが・・。

形状や表面の模様などでも手間が変わりますので一概には言えませんが、手間賃を加えて1本1000円で販売したら、17本で材料代なんかあっという間に取り戻せる計算になります。

これは断言できますが、特にハンドメイド作品を副業として販売していこうと思っている方、または既に始めている方でも、少しの技術を身につけるだけで幅が広がりますしライバルとの差別化にもつながります。

また、趣味としてハンドメイドを長く楽しみたい方も、売り上げに伸び悩んでいる方もハンドメイドの資格や講座でスキルアップするのもおすすめの選択肢です。

やはりしっかりとした知識や基礎が身についている方の作品は、見ていても説得力というか品質が違うと感じますから。

まとめ

工程を細かく区切って説明してきましたがいかがでしたか?

なかなか最初は上手くいかないと思いますが、この作り方には基本がたくさん詰まってますので楽しみながら頑張ってください。

リングの作り方は材料が変わっても同じような流れですし、ロー付けがどの様なものか分かれば作り方の幅がとても広がります。

例えば自作の金属のパーツに、ピアスのポストを接着剤ではなくロー付け出来ますし、パーツにチェーンを通す為のバチカンや丸カンを付けるのも可能です。

そこまで出来たらハンドメイドアクセサリーの製作技術はワンランク以上アップしたといっても過言ではないと思いますし、オリジナリティーも出しやすくなります。

「自分で作ったアクセサリーを身に着けたい!」

「少しレベルアップした作品をハンクラサイトなどに出品したい!」

そう思っている方は是非チャレンジしてみてくださいね。

2 COMMENTS

内田智恵

母のブローチの楕円の石やガラスの楕円のものを指輪にするのは可能でしょうか?自分でやってみたいと思っています。

返信する
Making things

内田様

コメントありがとうございました。

「ブローチの楕円の石」や「楕円のガラス」を使用して指輪にしたいのですね。

石を拝見していないので想像でお答えさせて頂きますが、指輪の上に楕円の石を乗せたデザインを想定されているかと思います。

その場合には、
①指輪とは別に石座(石を乗せる土台)を制作
②指輪と石座をロー付け(接合することです)
③最後に石を留める

おおまかにこのような流れになるかと思います。

ガラスという事でしたら割れやすいかもしれないので、包み込む覆輪(ふくりん)タイプの石座ではなく、爪で留められる石座が向いているかもしれません。

未経験の場合には石座を制作するところが一番の難所だと予想しますが、制作自体は可能だと思います。

彫金工具や材料を取り扱っている「コモキン」さんなどでしたら、完成した石座も販売されてますので、石のサイズに合うものあればそのまま使用できます。

丁度良いものが見つかればそれを指輪に接合して、綺麗にした後に石を留めるという流れです。
コモキンの石座のページです↓
https://www.comokin.co.jp/shopbrand/ct311/page3/recommend/

未経験から石座の作り方を詳しく学びたいなら、
「宝飾クラフト技法の実際」という書籍はおススメです。

日本宝飾クラフト学院という彫金の大手専門学校が出されていて、画像付きでとても分かり易いです。
この1冊で宝石付きのリング制作の流れが分かりますので、今回のご質問の答えの様な流れで学べると思います。

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です