仕事の空き時間を利用したハンドメイドシリーズ。
今回は何を作ったのか最初に書いてしまいますが、「はぐれメタルを」作ってみました。
一人でものづくりをしているとたま~に寂しいので、私がサボらないようにお目付け役というか相棒を作ってしまおうということです。
仕事の合間に空き時間が出来る話や、何を制作したかなどは前回の記事に書いてあるのでそちらを読んでみてください↓
では早速そのきっかけと「はぐれメタル」の作り方を解説していきます。
目次
金属を溶かすと「はぐれメタル」そっくり
なぜはぐれメタルを制作したのかというと、仕事中のある作業がきっかけでした。
ジュエリーを制作している方は分かると思うのですが、そうでない方の為に解説しておきます。
ジュエリーを制作する時は、必要な材料を自分で作る時があるのですが、その時に行うのが金属の溶解です。
チョコ皿という皿に入れた金属を溶かし、型に流し込んで棒などを作るのですが、
その時に、「はぐれメタルみたいだな~」と、単純にそう思ったのが理由で・・深い意味はありません。
「はぐれメタル」制作の流れ
そんな単純なきっかけから始まった「はぐれメタル」作りですが、流石に5分や10分では作れません。
まずはきっかけとなったチョコ皿で金属を溶かすところから始めますが、今回は銀の破材や指輪などを溶かします。
画像では白い粉も見えますが、これは「ホウ砂」と呼ばれるもので地金溶解時に重宝する粉。
ホウ砂について解説すると長くなってしまうので今回は割愛します。
今は破材やリングが見えますが、バーナーで熱すると温度の上がりやすい細いリングなどから溶け始めます。
更にバーナーで熱し、大きい破材も溶かします。
通常は全部が溶けた段階で、棒状の型などに流し込んだりするのですが、全て溶けて一つの塊になったら今回は終了です。
これを水に入れて冷やすと↓のように銀の白い塊に。
大まかに頭の高さを出す作業
量産などだったら専用の型などがあると思うので、先ほどのドロドロになった状態で型に流し込めばほぼ形は完成します。
それが量産品などに用いられる鋳造の原理です。
私の場合は当然ですが型などはないので、ここから成型しなくてはいけません。
まずはこの平べったい状態から「はぐれメタル」の頭の高さを出す必要があるので、一度丸めてしまいます。
今回はサイコロと矢坊主という道具を使用しました。
丸い凹みのある部分に先ほどの平べったい銀の塊を入れて、矢坊主とハンマーで叩いて半球状にしていきます。
叩いていると徐々に地金が硬くなるので、バーナーで熱して急冷してからまた叩くという工程を繰り返します。
これは焼きなましという地金を柔らかくする作業ですが、これをサボって固くなったまま叩いていると、地金がどんどんヒビ割れしますのでとても重要です。
今度は逆に凹ませる作業
先ほどは「はぐれメタルの」頭になる部分の高さが必要だったので丸めましたが、今度は余計な部分にでた高さを抑えていきます。
頭の頂点から外側に向けて、なだらかになるように金鎚で叩いて成形します。
不自然にならないようにつながりを意識して叩き、固くなってきたら焼きなましも途中で入れています。
最終工程
大まかに形ができたので後の最終工程は簡単な作業です。
丸いままの縁を「はぐれメタル」の形状に似せて削り輪郭を整える。
↓
叩いて凹ませた部分の凸凹を削り、頭と滑らかにつなげる。
↓
目と口を彫刻しベースが完成
↓
小さい銀の破片を溶かすと丸い球になるので、その球を3個ロー付けする。
(ロー付けとは金属を接合する作業の事です。)
ロー付けについては↓の記事で解説しています。[指輪の作り方]プロが教えるハンドメイドアクセサリー
↓
仕上げをして完成
不思議なんですけど、ただの銀の塊なのに顔を彫刻するだけで喋り出しそうじゃないですか?
それにしてもこの呑気な顔(笑。
下はあまり見ることのない、「はぐれメタル」の後頭部。
まとめ
今回は「はぐれメタル」を制作してみましたがいかがだったでしょうか?
色々と制作方法はあると思いますが、今回はこのように制作しました。
無いとは思いますが仕事として制作するのであれば、仕上がりも制作方法もまた違ってくると思います。
せっかく制作したのでペーパーウエイトとして、書類の上に鎮座しながらお目付け役をこなしてもらうことにします。
・・・作ってみて感じた実体験というか余談ですが、
「はぐれメタル」はイラストなどだとグレーの場合が多いと思うのですが、
もし実際に草むらなどで遭遇した場合は、体への映り込みで想像以上に風景に溶け込むのではと思いました。